厚生労働省は、平成27年度の障害者の職業紹介状況について公表し、ハローワークを通じた障害者の就職件数は、平成26年度の84,602件から大幅に伸び、90,191件(前年比6.6%増)となりました。また、就職率も48.2%(前年比1.0%増)となりました。特に精神障害者の増加が多くみられるものとなったようです。※ 画像をクリックすると公表結果が表示されます。
平成25年4月1日から民間企業の法定雇用率が2%(常用労働者数50人以上に雇用義務が生じるに)引き上げられたのですが、あらたに平成27年からは常用労働者数が100人を超える企業に対して、不足する障害者1人につき、月額5万円の「障害者雇用納付金」を納めなければならないペナルティが発生するため、このような結果になったものと思われます。
新規求職 申込件数 |
対前年度 (前年度比) |
就職件数 | 対前年度比 (前年度比) |
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身体障害者 | 63,403件 | 1,862件減 (2.9%減) |
28,003件 | 172件減 (0.6%減) |
知的障害者 | 33,410件 | 1,097件増 (3.4%増) |
19,958件 | 1,235件増 (6.6%増) |
精神障害者 | 80,579件 | 7,097件増 (9.7%増) |
38,396件 | 3,858件増 (11.2%増) |
その他障害者 | 9,806件 | 1,644件増 (20.1%増) |
3,834件 | 668件増 (21.1%増) |
合計 | 187,198件 | 7,976件増 (4.5%増) |
90,191件 | 5,589件増 (6.6%増) |
産業別でみると「医療・福祉」(33,805件)、「製造業」(11,933件)、「卸売業、小売業」(11,577件)での就職件数が多くなっており、また解雇者数は1,448人(平成26年度は1,192人)と解雇の事例が多くなりました。
今年4月1日からは障害者の雇用の促進に関する法律の一部が新たに改正され、「障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応として」、差別的取り扱いの禁止等が定められました。
1.障害者に対する差別の禁止
雇用の分野における障害を理由とする差別的取り扱いを禁止
2.合理的配慮の提供義務
事業主に障害者職場で働くにあたっての支障を改善するための措置を講ずることを義務付け。
※ ただし、当該措置が事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合を除く。
(想定される例)
①.車いすを利用する方に合わせて、机や作業台の高さを調整すること
②.知的障害を持つ方に合わせて、口頭だけでなく分り易い文書や絵図を用いて説明すること
3.苦情処理・紛争解決援助
①.事業主に対して、上記1,2にかかるその雇用する障害者からの苦情を自主的に解決することを努力義務化。
②.1,2にかかる紛争について、個別労働関係紛争の解決の促進にかかる法律の特例(紛争調整委員会による調停や都道府県労働局長による勧告等)を整備。
コンプライアンス遵守は、企業にとって社外的にも大変重要であることは間違いありません。また、人材不足の深刻化に伴い、ますます障害者の労働力が必要になってきております。法定雇用者数に満たないため無駄な納付金を支払わなければならない事態にならないよう、柔軟に対応する必要があります。